現在、人が生きて行くためのコミュニケーションとしての道具はほとんど、コンピューターとなってきました。確かに便利なことではあるけれども、目先の便利さだけに追われるのはどうなのでしょうか?現実にインテルサット搭載の自動運航に頼り切った大型船が太平洋の真ん中で正面衝突を起こしている事実があり、あえて言えば福島原発事故にも当てはめることができるのでは…
ヒトとヒトの間の親密感が薄らいでいる今、もう少し生き物としてのコミュニケーションを考えてみると、今、まさに忘れ去られようとしているアタタカイ物たちが見えてきました。たとえばついこの間までの大自然である海とヒトとの暮らしを導いてくれていたのが灯台がその一つです。
海と陸、港と街の間に美しく溶け込んでヒトの目を楽しませつつ、ヒトを安全に守ってくれていた灯台をヒトも自然のひとつであることを現代の人々に楽しみながら気付いてもらえればうれしいと考えながら作ってみました。
船は一旦海にでるとそこにボーッダーラインはなく、漂う波に委ねます。航海の指標を灯りで導く灯台は海の道標。海原にしっかりと立つ姿に出会うと人は安心し、そこにたどり着くまでの道程に自信が持てます。
何気ない日々の暮らしも航海ほど大げさだはないにしても、朝目覚めてから日暮れまで自分なりのボーケンや輝きの中で過ごします。一日が終わる頃、その日を振り返りゆったりリラックスする…
とても小さなミニチュア版ですが、元気な自分に帰り、よりよい明日を照らしてくれるでしょう。
岩本 富子